縁日で販売されるお面のルーツと今

お祭り、縁日で販売されているキャラクターお面。
はっきりしたはっきりした始まりは分かっていませんが、戦前から、ブリキやセルロイド加工が得意だった工場が作り始めたということです。
セルロイドはプラスチックに比べて加工がしやすく、安価であったため、お面の材料として当時使用されていました。セルロイド製のお面ということで、「セル面」とプロの露天商から呼ばれていました。

■1949年頃(昭和24年)頃
戦後このあたりの時期からは、現代にも残っているお面にもブームが訪れます。 戦前からセルロイド加工が得意だった加工メーカーが玩具やお面を作ることが多くなり、昭和2年に伊藤化工所として創業した、現:株式会社イトオーもいわいるセル面を作り始め、はんにゃ、おかめ、ひょっとこ、くらま天狗のお面などを作っていました。 中でも、くらま天狗のむらさき頭巾、赤頭巾、白頭巾がとてもよく売れていたようです。 ※このころのお面はまだ小ぶりで小さく、1955〜60年(昭和30年〜35年)ごろから現在の大きさのものに変化したいったようです。


※大ヒットしたくらま天狗のお面イメージ

■1962年頃(昭和37年頃)
この頃前後からは、いわゆるキャラクターを模したお面が登場し始めました。ただし、キャラクターの版権という概念が無く、すべてのキャラクター商品は誰がどのように作っても本物、偽物の概念が無く、だれが作っても罰せられないものでした。

このころから、セルロイド製のお面から、塩ビ製(PVC)のお面に代わっていきました。
セルロイドは加工しやすいメリットがあるものの、とても燃えやすく、製造途中で火事になる工場が続出したということで、お面製造メーカーの株式会社イトオーさんも、一度火事で工場が焼けてしまったとのこと。
※株式会社イトオーさんより情報提供


■1963年以降(昭和38年頃)
1963になると、有名なアニメキャラクターが登場することで日本にライセンスビジネスの概念が生まれ、キャラクターを管理する会社が設立。本物のキャラクター商品は、許諾を得たメーカーしか作れなくなりました。


■2021年9月
現存するお面メーカーの株式会社イトオーさんが、今年度末にて事業を廃業するということです。
イトオーさんは、サンリオ系キャラクターのライセンス商品(縁日玩具)を手掛けており、お面のほかにも、人形すくい、ビニールヨーヨー、ビニール玩具、綿菓子袋などを手掛けていました。
キッシーズ株式会社も、2011年頃にキャラクターのフィギュア入りスーパーボールをイトオーさんと共同でオリジナル生産する協力関係にありました。
大変残念ですが、1927年(昭和2年)から約94年間、縁日の下支えをしていただき感謝とともに、大変お疲れ様でした。
※サンリオ系の縁日玩具は、別メーカーに引き継ぐとのことです